Vinos Yamazaki’s blog

蔵直(R)ワイン専門店ヴィノスやまざきのスタッフがお送りするダイアリーです。

新大陸への第一歩 カリフォルニア② 自然派のはしり、メンドシーノ

ヴィノスやまざきが30年前に直輸入したのは、南フランスだけだと思われていますが、実は、同じ頃からカリフォルニアワインのパイオニアとして、新大陸への取り組みを始めていました。

ヴィノスやまざき

現在では、フランスの銘醸ワインを超えるワインを多く産出しているナパ・ヴァレーから、メリタージュやウォーターストーンなどを直輸入し、多くのカルトワインで「ナパ・ヴァレーのヴィノス」と、言っていただくこともあり、嬉しい限りです。

 

が、実は、ヴィノスはナパ・ヴァレーから始まったわけではなく、モントレーやメンドシーノ等、ナパ・ヴァレーにぶどうを卸していた、当時は無名だった産地のワインから輸入を始めました。
特にメンドシーノは、日本酒の名伯楽と言われていた先代の山崎巽が、
「うまいなあ。身体に染み入る・・」
と、現在のようにコンテナ単位でワインを輸入するずっと前に、個人的に輸入したこともある産地なのです。

 

メンドシーノは、ナパよりもっと北。

数時間ドライブしてメンドシーノ・カウンティに入ると、冷涼で朝は霧の中で目が覚めます。実は葡萄畑に限らず、全米で最も有機栽培の畑が多いエリアなのです。
その昔、自然を愛し、畑で野菜やぶどうを自給自足で暮らしていた「ヒッピー」の多く住んでいたエリアでもあります。
「自然派」という言葉が生まれるずっと前から、自然が当たり前の産地なのです。
メンドシーノのワイン造りを牽引するのは、Vineyard(ぶどう園)の人達です。

 

そんなメンドシーノで出会ったのが、元ヒッピーでもあり、メンドシーノワインの醸造の匠と言われるデニス・パットンさんです。

メンドシーノの畑を知り尽くし、素晴らしいヒット商品を世に出してきました。
今では、メンドシーノワインも、7~8000円、1万円を超えるものも多く販売されるようになりました。

それでも、デニスさんは、「何とかメンドシーノワインを美味しく手頃な価格で飲んでほしい」と、長年の経験とぶどう農家とのネットワークをフル活用し、多くのぶどう畑の中から選び抜き、ヴィノスやまざきの自然派カリフォルニアワインを造って下さっています。

 

その代表ワインが、TRUEVINE VINE(トゥルーヴァイン)。
VINEはVINEYARDの語源ともなった「ぶどうの樹」という意味です。
聖書の「私は真のぶどうの樹」という聖句に「TRUE VINE」という言葉が使われています。

 

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カベルネ・ソーヴィニヨンは、しっかりした渋みと滑らかな果実味がありながら、エレガントでナチュラルにす~と、身体に染み入る味わい。

 

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ジンファンデルは、いわゆる甘いジャミーな味ではなく、スパイシーで酸も乗った大人の味わい。
ワイン通の方にも、酸味ののった良質のメンドシーノワインを大変高く評価しています。

 

そして、「バイオダイナミック レッド」は、そのパワーと味わいに驚きます。
(バイオダイナミック農法とは、オーストリアの哲学者ルドルフ・シュタイナーが提唱した有機農法の一つ。農薬や化学肥料を使用せず、「星と月の位置関係」に基づいて作物を栽培する方法。ビオディナミ(Biodynamie)と呼ばれることもある。)
究極の自然派といっても過言でもない、バイオダイナミックのワインで、ここまで力のあるワインに出会ったことはありません。

 

カベルネ・ソーヴィニヨンも、ジンファンデルも、バイオダイナミックも、素晴らしいぶどう畑のぶどうを使っており、彼らが自分達で造っているワインの価格は、トゥルーヴァインの倍以上のものもあるかもしれません。
デニスさんが、ヴィノスやまざきの為に、どれだけ良いぶどうを押さえてくれたのかがわかります。

30年の付き合いだからこそ、こんな奇跡のワインが生まれたのです。

 

最後に。
メンドシーノを代表する認定ワインに、「コロ」があります。

コロ委員会は、メンドシーノのワインの品質向上のために造られた委員会。

コロを名乗るためには、厳しい審査に合格しなくてはなりません。
「いつか、デニスさんと、最高のメンドシーノワインを造りたい。」
その夢が2016年、初めてコロを一緒に造り、認定されたことで夢が叶いました。

現在は2018年をご紹介させていただいています。
(実は2016年のファーストヴィンテージも大切に取ってあったり…)

 

メンドシーノのぶどうも、年々価格があがっており、もう、今の価格ではトゥルーヴァインを造って頂くのが、無理だと言われてしまいました。
もう、現在の在庫で終わりです。
いつか、伝説のワインとしてヴィノスやまざきの歴史の1ページとなることでしょう。
出来うるなら、今後もメンドシーノワインをご提供し続けたい、そんな想いがいつか叶うことを願っています。

 

買付隊長 種本祐子